「資料の書き方をそろえる — AIが1ファイルで迷わない冒頭と目次を決める」で1ファイルの書き方が決まると、追い出された情報の行き場が必要になる。「このファイルは何を担当し、何を担当しないか」という関係の情報である。この章では、それをフォルダーごとの索引に集める形を決める。索引が1つあるだけで、AIに「どこに書けばいいか」を毎回説明せずに済むようになる。
目次
| 章 | タイトル |
|---|---|
| 1 | 何が起きるのか |
| 2 | どう決めたか |
| 3 | なぜ「担当しないこと」を必ず書くのか |
| 4 | なぜ例外を設けないのか |
| 5 | 増え続けるものだけは別扱いにする |
| 6 | 自分で作る手順 |
1. 何が起きるのか
ファイルが増えると、全体像を持っている人がいなくなる。
自分では覚えているつもりでも、久しぶりに開いたフォルダーの中身は思い出せない。「戦略」と「方針」と「ルール」という似た名前のファイルが並んでいて、どれに何を書いたか分からない。開いて確かめるしかない。
AIに任せると、この問題がはっきり出る。
書き足す場所を毎回説明することになる。 「投稿のルールを追加して」と頼むと、AIはフォルダーの中から関係ありそうなファイルを探す。判断材料はファイル名と中身だけなので、内容の近いファイルに足される。それが「具体例を置く場所」だったとしても、AIには区別がつかない。
同じことが複数のファイルに書かれる。 一度こうなると、直すときに全部を探すことになる。1つ直し忘れると、矛盾したまま残る。
探すために全部開くことになる。 AIに「この件はどこに書いてある?」と聞くと、フォルダー内のファイルを片っ端から読み始める。ファイルが30個あれば30個読む。時間もかかるし、読み込む量にも限りがある。
「資料の書き方をそろえる — AIが1ファイルで迷わない冒頭と目次を決める」で1ファイルの中身は整った。足りないのは、ファイル同士の関係を持つ場所になる。
2. どう決めたか
決めたのは3つになる。
| 番号 | 決めごと | 一言 |
|---|---|---|
| 1 | フォルダーごとに索引を1つ置く | 名前は <フォルダー名>_フォルダー・ファイル構成.md |
| 2 | 索引は2章構成にする | ツリー + 責務の表 |
| 3 | ファイルを増減したら同じ作業で索引を直す | 別の作業に回さない |
決めごと1:フォルダーごとに索引を1つ置く
フォルダー直下に索引ファイルを1つ置く。サブフォルダーには作らない。サブフォルダーの中身も、親の索引で扱う。
ファイル名は <フォルダー名>_フォルダー・ファイル構成.md にする。
| フォルダー | 索引ファイル |
|---|---|
01_戦略/ | 01_戦略_フォルダー・ファイル構成.md |
04_発信/ | 04_発信_フォルダー・ファイル構成.md |
フォルダー名を接頭辞に付ける。 エディタでタブを開いたときや検索結果で、どのフォルダーの索引かを区別するためになる。全部が 構成.md という名前だと、タブが3つ開いた時点で見分けがつかない。
決めごと2:索引は2章構成にする
索引の中身は2章に固定する。
1章:フォルダー構成。配下の全ファイルをツリーで示す。
04_発信/
├── 04_発信_フォルダー・ファイル構成.md 本ファイル(索引)
├── 共通原則/ 全フェーズ共通の原則・見せ方
│ ├── 読みやすさ・見せ方.md
│ └── x集客戦略.md
└── 初期フェーズ/ フォロワー0〜300人の時期に使う資料
└── 週間運用_初期フェーズ.md
実在するファイルと1文字も違わない名前を書く。 ここがずれると、AIは存在しないファイルを開こうとする。
サブフォルダーには1行の役割説明を添える。個別ファイルの説明は2章の表で行うため、ツリーには書かない。
2章:ファイル一覧(責務)。サブフォルダーごとにセクションを分け、それぞれ表を置く。表の列は3つに固定する。
| 列 | 書き方 |
|---|---|
| ファイル | リンクにする。セクションでフォルダーが確定するので、表示名はファイル名だけでよい |
| 担当すること(責務) | そのファイルが何の正本かを書く。そのファイルの冒頭と矛盾させない |
| 担当しないこと | このファイルに書き足してはいけない内容 |
実際に書くとこうなる。
### 共通原則/
全フェーズに共通する原則。フェーズが変わっても内容は変えない。
| ファイル | 担当すること(責務) | 担当しないこと |
|---|---|---|
| [読みやすさ・見せ方.md](...) | 改行・余白・強調など見せ方のルール。字数上限の正本 | 何を書くか(カテゴリ・型) |
決めごと3:ファイルを増減したら同じ作業で索引を直す
索引は、放置すると実態とずれる。ファイルを追加・削除・リネームしたら、同じ作業の中で次を行う。
- 索引の1章のツリーにファイルを足す/消す
- 索引の2章の表に行を足す/消す(担当すること・担当しないことの両方を埋める)
- 追加したファイルの冒頭に、戻りリンクと自分の責務を書く(②の決めごと1)
- リネームした場合は、そのファイルへの参照を全体で置換する
「同じ作業の中で」を強調して書く。 後回しにすると、忘れる。忘れた索引は、間違っている索引になる。間違っている索引は、無い索引より悪い。
3. なぜ「担当しないこと」を必ず書くのか
3列のうち、省きたくなるのは3列目になる。書くことがないファイルもあるし、埋めるのに手間もかかる。
それでも必須にしているのは、空にすると前の回のルールが崩れるためになる。
「資料の書き方をそろえる — AIが1ファイルで迷わない冒頭と目次を決める」では、各ファイルの冒頭から「他ファイルとの住み分け」を追い出した。追い出した情報には行き場が要る。それがこの列になる。ここが空だと、行き場を失った情報は元の場所——各ファイルの冒頭——に戻る。半年もすれば、また案内板から始まる資料に戻っている。
もう1つ、責務の境界は「何を担当するか」だけでは決まらないという事情がある。
「投稿のルール」と「投稿の具体例」という2ファイルがあるとする。担当することを読むと、どちらも投稿について書く場所に見える。区別がつくのは「担当しないこと」を読んだときになる。
| ファイル | 担当すること | 担当しないこと |
|---|---|---|
| ルール | 守ることの正本 | 具体的な文例 |
| 具体例 | カテゴリ別の文例 | 全カテゴリ共通の原則 |
境界は、触れてはいけない側から書いた方が明確になる。
4. なぜ例外を設けないのか
ファイルが1つか2つしかないフォルダーにも索引を置く。「2ファイルなら見れば分かる」という判断はしない。
探す側のコストが変わるためになる。
例外があると、索引を探すときに「このフォルダーには索引があるだろうか」という判断が1つ増える。無いフォルダーを開いて、無いことを確かめて、中身を直接読む。この判断が毎回発生する。
例外が無ければ、判断は消える。フォルダーを開けば索引がある。それだけになる。
作り忘れも防げる。 「2ファイルだから要らない」と判断したフォルダーは、3ファイル、5ファイルと増えていく。どの時点で索引が要るようになったかを誰も気付かない。気付くのは、探せなくなったときになる。そのときには索引を一から書くことになり、10ファイル分の責務を思い出す作業が発生する。
最初に置いておけば、増えるたびに1行足すだけで済む。1行ずつ足すのは楽で、10行まとめて書くのは重い。 同じ量でも、かかる手間は違う。
5. 増え続けるものだけは別扱いにする
原則は原則として、実態に合わない場所が2つある。
増え続けるファイルは、パターン1行にまとめる
日次ログのように今後も増え続けるファイルを1行ずつ書くと、ファイルが増えるたびに索引が古くなる。そこで、パターンで1行にまとめる。
| 書き方 | 例 |
|---|---|
| ○ パターン1行 | daily/YYYY-MM.md |
| ✕ 全件列挙 | daily/2026-06.md、daily/2026-07.md、daily/2026-08.md… |
この場合、表の行数と実ファイル数は一致しなくなる。それは織り込んでおく。
件数が増え続けるフォルダーには、索引を置かない
記事のように今後も増え続けるものは、フォルダーごとに索引を置くと更新箇所が分散する。記事を1本書くたびに、索引と一覧の両方を直すことになる。
そこで、記事の所在は一覧表1つに集約し、記事フォルダーには索引を置かない。
この線引きの基準は件数ではなく、責務の境界を示す必要があるかどうかになる。
| 対象 | 索引を置くか | 理由 |
|---|---|---|
| 役割の違う資料が並ぶフォルダー | 置く | どれに何を書くかの境界が要る |
| 同じ役割のものが増え続けるフォルダー | 置かない | 境界は同じ。要るのは所在の一覧 |
記事は全部が「記事」であって、責務の境界を書く意味がない。必要なのは「どこに何本あるか」だけになる。それは一覧表の仕事になる。
例外を作るときは、基準ごと書く。 「記事フォルダーは除く」だけだと、次に似た判断が来たときにまた迷う。何を見て分けたのかを残しておけば、判断が再現できる。
6. 自分で作る手順
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | ルールファイルに、索引の置き方と中身を書く |
| 2 | いちばん散らかっているフォルダーに索引を1つ作る |
| 3 | 更新手順を書く |
| 4 | AIが必ず読む場所から参照する |
手順1:ルールを書く
rule/フォルダー・ファイル構成ルール.md のようなファイルを作り、2章の決めごとを書く。冒頭に理由を1行置く。
## 概要
フォルダーやファイルの全体像を、フォルダーごとに1つ置く構成ファイルに集約する。
**理由**:全体像を1ファイルに集めれば、各資料は自分の中身だけに集中でき、
「どこに何があるか」は1ファイルを見れば分かる。
ファイルが増減したときの修正箇所も1箇所で済む。
適用範囲を明記する。 どのフォルダーに置き、どこには置かないかを書く。5章の線引きをするなら、その基準も書く。
手順2:索引を1つ作る
全フォルダーに一度に作らない。いちばん散らかっているフォルダーを1つ選ぶ。
AIに作らせるとよい。
「04_発信/の中身を読んで、索引ファイルを作って。形式はrule/フォルダー・ファイル構成ルール.mdの2章に従って」
ツリーは機械的に作れるが、責務の表は自分で確認する。AIはファイルの中身から責務を推測するので、書いた本人の意図とずれることがある。特に「担当しないこと」は、書いていないことを推測することになるため、はっきり間違う。
ここで意図とずれた行が出たら、それはそのファイルの冒頭が曖昧だという合図になる。「資料の書き方をそろえる — AIが1ファイルで迷わない冒頭と目次を決める」のルールに従って冒頭を直す方が先になる。
1つ作ってみると、書き方の勘所が分かる。2つ目からは早い。
手順3:更新手順を書く
ルールファイルに、2章の決めごと3をそのまま書く。あわせて、ズレを検知する方法を書いておく。
表の行数と、実際のファイル数を数えて比べる。
# 表の行数(索引自身は表に含めない)
grep -c "^| \[" <索引ファイル>
# 実ファイル数(索引自身を除く)
find <フォルダー> -name "*.md" ! -name "*_フォルダー・ファイル構成.md" | wc -l
数が合わなければ、どこかがずれている。5章のパターン1行を使っているフォルダーでは一致しないので、そこは目視で確認する。
この2行を書いておくと、AIに検査を頼める。 「全フォルダーの索引がずれていないか確認して」で一巡できる。
手順4:AIが必ず読む場所から参照する
- ファイルを追加・削除・リネームする → rule/フォルダー・ファイル構成ルール.md
(フォルダーごとの構成ファイルで全体像を管理する)
効いているかの確かめ方
新しい資料をAIに作らせて、索引が一緒に更新されるかを見る。
「◯◯についての資料を 04_発信/ に追加して」
ファイルを作って終わりなら、参照が届いていない。索引のツリーと表にも行が足されていれば効いている。
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ここまでで、資料の側は整った。1ファイルの中身が決まり、ファイル同士の関係も1箇所で引ける。AIに「どこに何を書くか」を毎回説明する必要はなくなった。
残っているのは作業そのものになる。資料が整っていても、毎週同じ手順を口頭で指示していれば、指示の内容は毎回ぶれる。「繰り返す作業を型にする — skillの設計資料を4ファイルで持つ」では、繰り返す作業を呼び出すだけで済む形に移す。あわせて、手順書とは別に「なぜその手順にしたか」を持つファイルを作る。前の回で本文から追い出した経緯の行き先が、ここで決まる。