Manualモードで作業していると、承認画面に rm メモ.txt のような短い英語の1行が出てくる。これを承認するかどうかは自分で決めることになるが、その1行が何をするものか分からなければ判断できない。この章を読むと、よく出てくるコマンドが何をするものかが分かり、承認してよいものと、手を止めるべきものを見分けられるようになる。

この章は最初から順に読まなくてよい。 分からないコマンドが出てきたときに、この章へ戻って調べる使い方を想定している。

目次

章タイトル
1承認画面にはコマンドが出る
2元に戻せないコマンド
3見るだけのコマンド
4ファイルが増える・変わるコマンド
5知らないコマンドが出たら

1. 承認画面にはコマンドが出る

AIがファイルを操作するとき、裏ではコマンドという短い命令文を使っている。承認画面に出てくる英語の1行が、それにあたる。

Claude が次のコマンドを実行しようとしています:

  rm メモ.txt

  [承認]  [却下]

rm メモ.txt は「メモ.txt を削除する」という意味になる。

日本語で頼んだ内容が、コマンドに翻訳されて出てくると考えればよい。「いらないファイルを消して」と頼めば rm が出るし、「中身を見せて」と頼めば cat が出る。

読み方の形

コマンドはたいてい2つの部分でできている。

rm     メモ.txt
↑      ↑
何をする  何に対して

先頭が動作、その後ろが対象になる。先頭の単語さえ分かれば、何をしようとしているかは掴める。

この章では、その先頭の単語を3つに分けて示す。

分類性質扱う章
元に戻せない実行したら取り返しがつかない2章
見るだけ何も変わらない3章
増える・変わる変わるが元に戻せる4章

2. 元に戻せないコマンド

このコマンドが出たら、対象をよく見る。 実行すると元に戻せない。

コマンド意味何が起きるか
rm削除するファイルが消える。ごみ箱には入らない
mv移動する・名前を変える移動先に同じ名前があると、そちらが消える
>書き込む元の中身が消えて、新しい内容に置き換わる

rm — 削除する

rm メモ.txt

remove の略になる。ごみ箱を経由せず、その場で消える。 パソコンの画面でファイルを削除したときと違い、後から取り出せない。

rm -r 資料/ のように -r が付くと、フォルダーごと中身を全部消す。対象がフォルダーのときは特に気をつける。

mv — 移動する・名前を変える

mv メモ.txt 旧メモ.txt

move の略になる。移動と名前の変更の両方に使う。

危ないのは、移動先に同じ名前のファイルがあるときである。確認なしに上書きされ、元のファイルは消える。

> — 書き込む

echo 完了 > メモ.txt

> の右側のファイルに、左側の内容を書き込む。元の中身は残らない。 まるごと置き換わる。

>> と2つ重なっている場合は追記になり、元の内容は残る。1つか2つかで結果が変わる。

承認する前に見ること

  • 対象のファイル名が、自分の意図と合っているか
  • フォルダーを指していないか(資料/ のように末尾が /)
  • 消えて困るものか

迷ったら却下してよい。却下しても、もう一度頼み直せる。


3. 見るだけのコマンド

読むだけで、何も変わらない。 承認して問題ない。

コマンド意味何が起きるか
ls一覧を見るフォルダーの中身が表示される
cat中身を見るファイルの中身が表示される
echo文字を表示する文字がそのまま出る

ls — 一覧を見る

ls 資料/

list の略になる。フォルダーに何が入っているかを表示する。AIが「まず何があるか確認する」ときに使う。

cat — 中身を見る

cat メモ.txt

ファイルの中身を表示する。AIがファイルを読むときに出てくる。

echo — 文字を表示する

echo 完了しました

書いた文字をそのまま表示するだけになる。単体では何も起きない。

ただし > と組み合わさっている場合は別になる(2章)。echo 完了 > メモ.txt はファイルを書き換える。echo だから安全、と形だけで判断しない。


4. ファイルが増える・変わるコマンド

変わるが、元に戻せる。 作られたものを後から消せばよい。

コマンド意味何が起きるか
mkdirフォルダーを作る空のフォルダーができる
touch空ファイルを作る中身のないファイルができる
cpコピーする同じ内容のファイルが増える

mkdir — フォルダーを作る

mkdir 資料

make directory の略になる。空のフォルダーを作る。既にあるものには影響しない。

touch — 空ファイルを作る

touch メモ.txt

中身が空のファイルを作る。既にファイルがある場合、中身は消えない。

cp — コピーする

cp メモ.txt メモ_控え.txt

copy の略になる。元のファイルはそのまま残り、同じ内容のものが増える。

コピー先に同じ名前があると上書きされる点は mv と同じになる。コピー先の名前は見ておく。


5. 知らないコマンドが出たら

ここに載っていないコマンドが出ることもある。そのときの判断になる。

まず却下してよい

分からないものを承認しない。 却下しても作業が壊れるわけではなく、もう一度頼み直せる。

AIに聞く

そのまま聞けばよい。

さっき出てきた chmod というコマンドは何をするもの?

承認画面を出した本人に聞くのが、いちばん早い。 何のためにそのコマンドを使おうとしたのかも一緒に答えてくれる。

判断の目安

見たものどうするか
2章のコマンド(rm mv >)対象を確かめてから承認する
3章のコマンド(ls cat echo)承認してよい
4章のコマンド(mkdir touch cp)承認してよい
知らないコマンド却下して、AIに聞く

同じコマンドが何度も出て煩わしくなったら、毎回確認しない設定にできる。それは「Permissions — 確認を減らしつつ、危険な操作だけ止める」で扱う。


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次の「基本的なコマンド — 会話の整理と状態確認をスラッシュコマンドで行う」では、自分から打つコマンドを扱う。

この章で見たのはAIが実行しようとするコマンドだったが、次に扱うのは /clear や /status のように、自分で入力して会話を操作するものになる。同じ「コマンド」でも役割が違う。


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