作業を任せたら、想定と違う方向に進んでいた — 大きな作業ほど、これが起きると手戻りが大きい。この章を読むと、AIが動き出す前に計画を確認する使い方が分かる。実行前に方向を正せるようになるため、大きな作業を任せるときの安全弁になる。
目次
| 章 | タイトル |
|---|---|
| 1 | Plan Modeとは |
| 2 | Plan Modeのメリット |
| 3 | 使うとよい場面 |
| 4 | 使い方 |
| 5 | 他の機能との使い分け |
1. Plan Modeとは
「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「確認モードを切り替える」で、4つのモードを見た。そのうちPlanだけは、そこでは扱わずに残してある。
| 表示 | 動き |
|---|---|
| Auto | AIがほとんどの操作を確認なしで進める |
| Manual | 書き換えのたびに確認を求める |
| Plan | 実行前に計画を提示する ← この章 |
| Edit automatically | ファイル編集だけ確認なしで進める |
AutoとManualの違いは、確認の回数だった。どちらも「AIが作業した後に、その結果を見る」点では同じになる。
Planはそこが違う。作業する前に、これから何をするかを見る。 Plan Modeは、AIに計画だけを先に出させ、実行はさせないモードである。
通常モードとの違い
【通常モード】
指示 → AIが作業する → 変更内容が出る → 承認
↑
ここで既に作業済み
【Plan Mode】
指示 → AIが計画を立てる → 計画が出る → 承認 → 作業する
↑
まだ何も変更していない
違いは承認する対象にある。通常モードで承認するのは「できあがった変更」だが、Plan Modeで承認するのは「これからやること」になる。
2. Plan Modeのメリット
計画を先に見られると、3つのことが変わる。
| メリット | 何が変わるか |
|---|---|
| 着手前に方向のズレを正せる | 作業が始まる前に「そうではない」と言える |
| AIの作業時間が無駄にならない | 却下してやり直す分の待ち時間が減る |
| 調べさせても書き換わらない | 読ませるだけなら安心して任せられる |
以降で1つずつ扱う。
着手前に方向のズレを正せる
Manualで確認していても、困る場面が残る。最初の一手が、そもそも想定と違う方向に進む場合である。
自分:「この資料を読みやすく整理して」
AIの解釈:見出しを全部作り直そう
自分の意図:段落を分けてほしかっただけ
通常モードだと、この食い違いは変更内容が提示された時点で初めて分かる。Plan Modeなら、作業が始まる前の計画の段階で見える。「見出しは変えないで」と伝えれば、その場で方向が戻る。
AIの作業時間が無駄にならない
食い違いに気づいて却下すれば、ファイルは無事である。ただしAIが作業した時間は戻らない。大きい作業なら、その待ち時間も大きい。
計画を見てから着手させると、この空振りが起きない。やり直しの単位が「作業」から「計画」に変わるためである。
調べさせても書き換わらない
計画を立てるために、AIはファイルを読む。フォルダの中身も調べる。
読む操作は行われるが、書き換えは一切行われない。 ここが保証されている点になる。どんなファイルがあるか調べさせたいだけのときも、Plan Modeなら安心して任せられる。
3. 使うとよい場面
毎回使うものではない。向き不向きがある。
| 向いている | 要らない |
|---|---|
| 複数のファイルにまたがる作業 | 1ファイルの小さい修正 |
| 何をされるか予想できない依頼 | 結果が明らかな依頼 |
| 初めて頼む種類の作業 | 何度もやって慣れた作業 |
| 大事なファイルを触る作業 | 練習用・複製済みのファイル |
判断の目安は「やり直しになったら痛いか」になる。痛いなら計画を見る、そうでないなら通常モードで進める、という使い分けでよい。
小さい依頼にまでPlan Modeを使うと、二段階の承認が必要になり、かえって遅くなる。
4. 使い方
モードを切り替える
操作は「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「確認モードを切り替える」と同じである。
- プロンプト入力欄の下にあるモード表示を押す
- 一覧から Plan を選ぶ
画像は準備中モード切替の選択肢からPlanを選ぼうとしている画面
その後、いつも通りに指示を出す。
計画が出るまで待つ
指示を送ると、AIがファイルを調べ始める。しばらくすると計画が提示される。
VSCode拡張版では、計画がMarkdown文書として開く。 チャット欄の中に収まるのではなく、通常のファイルと同じように画面に表示される。
長い計画でも読みやすく、後述の通り書き込みもできる。
計画を読む
計画が出たら、次の3点を見る。
| 見る点 | 何を確認するか |
|---|---|
| 対象範囲 | 触る予定のファイルが、頼んだものと合っているか |
| 手順の粒度 | 何をするのかが具体的に書かれているか |
| やらないこと | 触らない範囲が明記されているか |
特に1つ目が重要になる。 頼んでいないファイルが対象に入っていれば、その時点で解釈がずれている。
危ない計画の兆候
次が見えたら、そのまま承認しない。
| 兆候 | 疑うこと |
|---|---|
| 対象ファイルが想定より多い | 指示の範囲が広く伝わっている |
| 「全体を見直す」など粒度が粗い | 具体的に何をするか決まっていない |
| 削除・移動が含まれている | 本当に必要か。「基本的なコマンド — 会話の整理と状態確認をスラッシュコマンドで行う」の「元に戻す(/rewind)」の通り巻き戻せない |
| 手順が10個以上ある | 一度に頼みすぎている(「結果を安定させるコツ — 指示・頼む量・つまずいたときの判断」の「一度に頼む量の決め方」) |
最後の1つは、計画そのものが悪いわけではない。依頼が大きすぎるというサインになる。計画を却下して、作業を切って頼み直す方がよい。
計画を直す
計画を見たら、どうするかを決める。
| 選択肢 | どうなるか |
|---|---|
| 承認する | 計画通りに作業が始まる |
| 却下する | 何も実行されない |
| 修正を伝える | 計画を直させてから、もう一度確認する |
VSCode拡張版の便利な点として、開いた計画の文書に直接コメントを書き込める。
(計画の文書)
## 手順
1. 全ての見出しを作り直す ← ここに「見出しは変えないで」と書き込む
2. 段落を整理する
3. 誤字を修正する
気になった箇所にその場で書き込めるので、どこが問題なのかを正確に伝えられる。チャット欄で「1番目のところなんですが」と説明する必要がない。
承認した後
承認すると、計画に沿って作業が始まる。ここからは通常モードと同じ流れになり、モードの設定によって変更内容の確認が入る。
計画を承認しても、個々の変更を確認する権利はなくならない。 Manualモードであれば、これまで通り1つずつ確認できる。
Planは1回限り
「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「確認モードを切り替える」で「一度Manualを選ぶと次の会話でもManualで始まる」と書いたが、Planは例外になる。
Planを選んでも、その会話の間だけ有効で、次の会話には引き継がれない。大きい作業のたびに選び直す形になる。
5. 他の機能との使い分け
ここまでで、安全のための仕組みが2つ出てきた。役割が違うので整理する。
| 仕組み | いつ効くか | 何を守るか |
|---|---|---|
| モード(「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」) | 会話全体 | 確認の頻度そのもの |
| Plan Mode(この章) | 作業の前 | 方針のズレ |
守る対象が重ならない。 そのため、両方を併用できる。
Plan Mode で方針を確認
↓ 承認
モードの設定に従って、変更内容を確認
たとえば大事なフォルダで初めての作業をするなら、次のように組み合わせる。
- Plan Modeで方針を確認してから着手する
- Manualモードで変更を1つずつ確認する
二重になるが、それぞれ止める場所が違うので無駄ではない。慣れてきたら、作業の重要度に応じて外していけばよい。
このほかに、操作ごとに許可・禁止を決める仕組みもある。 後の「Permissions — 確認を減らしつつ、危険な操作だけ止める」で扱う。
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Plan Modeで、着手前に方針を確かめられるようになった。ここまでで、モードの違いによる任せ方はひと通り扱ったことになる。
ただし承認画面では、rm や mv といった見慣れないコマンドが出てくる。何をするものか分からないままでは、承認するかどうかを判断できない。
次の「承認画面に出てくるコマンド — rm・ls の意味を知って判断する」では、承認画面に出てくる rm や ls といったコマンドの意味を扱う。どれが元に戻せない操作なのかが分かると、承認するかどうかを自分で判断できるようになる。