ここまでで、Claude Codeを動かすための操作は一通り揃った。この章では、実際に使うときの勘所をまとめる。読むと、指示の出し方・一度に頼む量の決め方・うまくいかないときの切り分けが分かり、同じ操作でも結果が安定するようになる。
目次
| 章 | タイトル |
|---|---|
| 1 | 結果を安定させる3つの原則 |
| 2 | 指示の書き方5つのコツ |
| 3 | 一度に頼む量の決め方 |
| 4 | うまくいかないときの切り分け |
| 5 | 事故につながる5つの使い方 |
| 6 | 基礎編はここで終わり |
1. 結果を安定させる3つの原則
細かいコツは多いが、突き詰めると3つに集約される。以降の章は、この3つを具体化したものになる。
| 原則 | 意味 |
|---|---|
| 小さく頼む | 一度に1つのことだけ頼む。まとめて頼まない |
| 範囲を伝える | どこまで触ってよいかを明示する |
| 確認は自分でする | 判断を渡さない。ここだけは省略しない |
うまくいかないときは、たいていこの3つのどれかが崩れている。困ったらここへ戻ればよい。
2. 指示の書き方5つのコツ
「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「ステップ2:AIへ指示を出す」で「人に頼んでも伝わるか」が基準だと書いた。ここではもう一段踏み込む。
コツは5つある。
| コツ | 何をするか |
|---|---|
| 一度に1つのことを頼む | 複数を同時に頼まず、順に分ける |
| やってほしくないことを添える | 触ってほしくない範囲を先に伝える |
| 「どうなったら完成か」を書く | 終了条件を指示に入れる |
| 例を見せるのが最も速い | 言葉で説明せず、望む形を1つ見せる |
| 直すときは、何が違うかだけ伝える | やり直しではなく差分を伝える |
以降で1つずつ扱う。
一度に1つのことを頼む
複数を同時に頼むと、どれかが雑になる。
(△ まとめて頼んでいる)
誤字を直して、見出しも整理して、あと最後に要約を付けて
(○ 分けて頼む)
誤字を直して
↓ 終わってから
見出しを整理して
分けると確認も楽になる。まとめて頼むと、提示される変更が大きくなり、どこを見ればよいか分からなくなる。
やってほしくないことを添える
AIは頼まれた範囲を広めに解釈する。 「直して」と言われると、頼んでいない部分まで良かれと思って直すことがある。
そこで、触ってほしくない範囲を先に伝える。
誤字だけ直して。文章の言い回しは変えないで
見出しはそのままで、本文だけ整理して
新しいファイルは作らないで
この一言があるだけで、結果のぶれがかなり減る。「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「ステップ2:AIへ指示を出す」で触れた内容だが、実際の作業で最も効くのがこれになる。
「どうなったら完成か」を書く
指示に終了条件を入れると、狙いから外れにくくなる。
| 終了条件が無い | 終了条件がある |
|---|---|
| 資料を整理して | 見出しごとに3行以内にまとめて |
| 短くして | 全体を半分の分量にして |
| 表にして | 「項目・内容・備考」の3列の表にして |
「整理して」だけだと、どうなれば整理できたのかはAIが決めることになる。自分の基準があるなら、先に言った方が早い。
例を見せるのが最も速い
言葉で説明しづらいときは、望む形を1つ見せる。これが一番確実である。
こういう形式に揃えて:
## 見出し
- 要点1
- 要点2
この形で、他の章も直して
5行の説明より、1つの実例の方が伝わる。「いい感じに」で困ったら、いい感じの実物を見せればよい。
直すときは、何が違うかだけ伝える
「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「ステップ5:承認する・却下する」で「却下したうえで修正を伝える」と書いた。そのときの伝え方にコツがある。
最初から説明し直さない。何が違ったかだけを言う。
(△ 一から言い直す)
この資料は初心者向けで、専門用語には説明が必要で、
一文は短くして、それから見出しは…
(○ 差分だけ伝える)
方向は合ってる。見出しだけ元に戻して
AIは直前のやり取りを覚えている。全部言い直すと、かえって前回の良かった部分まで変わる。
3. 一度に頼む量の決め方
指示の言い回しより、一度にどれだけ頼むかの方が結果を左右する。
大きい作業は分割して頼む
「フォルダ全体を整理して」のような大きい依頼は、うまくいきにくい。理由は3つある。
- 提示される変更が大きすぎて、確認できない
- 途中で方向がずれても気づけない
- やり直すときの損失が大きい
確認できる大きさに切るのが原則になる。
(△ 一度に頼む)
このフォルダの資料を全部整理して
(○ 切って頼む)
まず、どの資料に何が書いてあるか一覧にして
↓ 確認する
企画.md から整理して
↓ 確認する
次に 名簿.csv を整理して
遠回りに見えるが、やり直しが減るため結果的に速い。
調べる → 直す、を分ける
調べる作業と、書き換える作業は分けて頼む。
1回目:この資料の問題点を挙げて。まだ直さないで
↓ 挙がったものを見て、直す対象を選ぶ
2回目:そのうち、誤字と表記ゆれだけ直して
まとめて頼むと、AIが「問題だと判断したもの」がそのまま書き換えられる。その判断が自分と一致しているとは限らない。
間に自分の判断を挟むと、意図しない変更が入らなくなる。
会話を切る目安
「基本的なコマンド — 会話の整理と状態確認をスラッシュコマンドで行う」の「会話を整理する(/clear・/compact)」で /clear を扱ったが、いつ打つかの目安を挙げる。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 別の資料の作業に移る | /clear |
| 同じ資料だが、話が長くなった | /compact |
| 何度言っても直らない | /clear して指示し直す |
3つ目が実用的である。同じ指示を3回繰り返しても直らないときは、会話が混乱していることが多い。押し問答を続けるより、一度切ってから指示を組み立て直した方が速い。
4. うまくいかないときの切り分け
「うまくいかない」には複数の原因がある。順に疑うと早い。
4段階で切り分ける
① 指示が曖昧ではないか
↓ 直しても解決しない
② 前提が伝わっていないのではないか
↓ 直しても解決しない
③ 会話が長くなりすぎていないか
↓ 直しても解決しない
④ そもそも頼み方が違うのではないか
上から順に確認する。下ほど手間がかかるので、上から潰す方が速い。
症状から原因へ
| 症状 | 疑う場所 | 対処 |
|---|---|---|
| 狙いと違うものが出てくる | ① 指示 | 終了条件を書く(2章) |
| 頼んでいない箇所まで変わる | ① 指示 | 触らない範囲を伝える(2章) |
| 毎回同じ注意をしている | ② 前提 | CLAUDE.mdに書く(CLAUDE.md) |
| 前に言ったことを忘れている | ③ 会話 | /compact か /clear(「基本的なコマンド — 会話の整理と状態確認をスラッシュコマンドで行う」) |
| 序盤と話が噛み合わなくなった | ③ 会話 | /clear して組み立て直す |
| 何度言っても直らない | ④ 頼み方 | 作業を小さく切る(3章) |
| 変更が大きすぎて確認できない | ④ 頼み方 | 分割して頼む(3章) |
それでも解決しないとき
指示ではなく、作業の渡し方そのものを変える。
たとえば「この資料を全面的に書き直して」がうまくいかないなら、それはAIに向いていない頼み方である可能性が高い。「Claude Codeとは — ファイルを直接読み書きするAIエージェント」の「Claude Codeが苦手なこと」で見た通り、正解が決まっていない判断はAIの苦手分野になる。
その場合は、自分が方針を決めてから、決まった作業だけを渡す。
5. 事故につながる5つの使い方
事故につながる使い方を挙げる。
| 避けること | 何が起きるか |
|---|---|
| 内容を読まずに承認し続ける | 意図しない変更が積み上がり、後から戻せなくなる |
| 複製を取らずに大事なファイルを触らせる | /rewind で戻せない変更が起きうる(「基本的なコマンド — 会話の整理と状態確認をスラッシュコマンドで行う」) |
| 作業フォルダを広く開く | 関係ないファイルまで対象範囲に入る(「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」) |
| 削除・移動をまとめて頼む | コマンドでの削除は巻き戻せない |
| うまくいかない指示を繰り返す | 会話が混乱し、さらに通じなくなる(4章) |
このうち1つ目が最も多い。確認が面倒になってきたときが危ない。 そう感じたら、それは作業を大きく頼みすぎているサインである(3章)。
6. 基礎編はここで終わり
ここまで来れば、もう使える
基礎編は、この章で終わりになる。
環境を用意し、指示を出し、提示された変更を確認して承認する。うまくいかないときに、どこを疑えばよいかも分かる。ここまでで、Claude Codeは実際の作業に使える状態になっている。
次に当てはまるなら、基本操作は身についている。
- うまくいかないとき、指示が悪いのか会話が汚れたのかを見分けられる
- 作業を頼む前に、どこで切るかを考えられる
- 提示された変更を、確認できる大きさに保てている
全部できていなくてもよい。使いながら身につく部分が大きい。ここまで読み進めた時点で、多くの人が止まってしまう「触ってみたが、何ができるのか分からない」段階は、もう抜けている。
もっと学びたい人は、発展編へ
ここから先は発展編になる。無くても作業はできるが、同じ作業を繰り返すほど効いてくる内容を扱う。毎回している説明を省く、毎回求められる確認を減らす、決まった手順を登録して呼び出す。手作業を仕組みに変えていく段階である。
発展編は、まず「.claude フォルダー — Claude Codeの持ち物が集まる場所」から読んでほしい。
理由は、発展編で作るものがすべてこの1つのフォルダーに入るからである。設定も、登録した手順も、作った役割も、置き場所は全部同じになる。ここを先に押さえておかないと、以降の章で「どこに置くのか」が毎回引っかかる。逆に、ここさえ分かれば残りの章はどれから読んでもよくなる。
⑨を読んだ後は、困りごとに合う章から進めればよい。
| 困っていること | 読む章 |
|---|---|
| 設定をまとめて調整したい | 設定ファイル |
| 毎回同じ確認を求められて煩わしい | Permissions |
| 毎回同じ前提を説明している | CLAUDE.md |
| 同じ作業手順を毎回説明している | Skills |
| 複数の作業を並行させたい | Sub Agents |
| 外部サービスのデータを扱いたい | MCP |
| 決まったタイミングで自動処理させたい | Hooks |
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次の「.claude フォルダー — Claude Codeの持ち物が集まる場所」から、発展編に入る。
扱うのは、発展編で作るものが全部入る1つのフォルダーである。設定も、登録した手順も、作った役割も、すべてここに集まる。発展編の地図にあたる章になるので、ここから読み始めてほしい。