同じ作業を何度も頼むたびに、毎回同じ手順を説明していないだろうか。この章を読むと、決まった作業手順を登録し、呼び出すだけで再現できるようになる。作り方に加えて、常に守らせたいことを書くCLAUDE.mdとの違いまで分かる。
目次
| 章 | タイトル |
|---|---|
| 1 | Skillとは |
| 2 | Skillを使うメリット |
| 3 | CLAUDE.mdとの違い |
| 4 | 置き場所 |
| 5 | Skillの記載内容 |
| 6 | Skillを使用する方法 |
| 7 | Skillにするかの判断基準 |
| 8 | 注意点 |
1. Skillとは
Skillは、特定の作業を、事前に決めた手順で実行してくれるようにする仕組みである。
たとえば、月末に資料をまとめる作業を考える。やることは毎回決まっている。
(月末の資料をまとめる手順)
1. 今月分のファイルを集める
2. 日付順に並べる
3. 各ファイルの要点を1行で抜き出す
4. 表にまとめる
5. まとめ.md として保存する
この5ステップを、月末のたびに説明し直している。 手順は決まっているのに、毎回同じことを伝えている。
これを一度書いて保存しておくと、次からは呼び出すだけで同じ通りに動く。 それがSkillになる。
保存先は SKILL.md という名前のファイルで、決まった場所に置く(→4章「置き場所」)。それだけで、名前を呼べば実行できるようになる。
「CLAUDE.md — 会話をまたいで前提を引き継がせる」で扱ったCLAUDE.mdは、常に守ってほしいことを書く場所だった。「専門用語には説明を付ける」のような方針は、どの作業にも当てはまるため、毎回読み込まれる形でよい。
しかし月末の手順は、月末のときだけ必要になる。CLAUDE.mdに書くと、それ以外の作業でも毎回読み込まれてしまう。
特定の作業のときだけ読み込まれる手順書の置き場所が要る。それがSkillになる。
2. Skillを使うメリット
使うと何が変わるのかを、3つに分けて示す。
| 何が変わるか | |
|---|---|
| 1 | 同じ手順を説明し直さなくてよくなる |
| 2 | 使うときだけ読み込まれるので、長く書いても普段の負担にならない |
| 3 | 名前を覚えていなくても、AIが判断して使う |
メリット1:説明し直さなくてよくなる
一度書けば、次からは名前を呼ぶだけで同じ手順が再現される。手順を思い出す手間も、伝え漏れも無くなる。
メリット2:長い手順を書ける
Skillは呼ばれるまで読み込まれない。
「CLAUDE.md — 会話をまたいで前提を引き継がせる」の「書き方のコツ」で「200行以内」と書いた通り、常に読まれる場所が長くなるのは不利になる。Skillにはその制約が無い。
詳しい手順も、注意事項も、書き込んでよい。普段の会話には影響しない。
メリット3:名前を覚えていなくても呼ばれる
Skillには呼ばれ方が2通りある。
① 自分で呼ぶ
/月末まとめ と打つ
② AIが自動で使う
「今月分をまとめて」と頼む
↓
AIが「これは月末まとめのSkillが使える」と判断して読み込む
②があるため、作ったSkillの名前を忘れても機能する。 5章「Skillの記載内容」で扱う description(説明文)が、この自動判断の材料になる。
3. CLAUDE.mdとの違い
「CLAUDE.md — 会話をまたいで前提を引き継がせる」と役割が近いので、境界を整理する。
| CLAUDE.md | Skill | |
|---|---|---|
| 何を書くか | 常に守る方針・事実 | 特定作業の手順 |
| 読み込み | 毎回 | 使うときだけ |
| 長さの制約 | 短くする(200行目安) | 長くてよい |
| 例 | 「です・ます調で書く」 | 「月末資料の作り方」 |
判断基準
迷ったときは、次で分ける。
どの作業でも必要か → CLAUDE.md 特定の作業のときだけ必要か → Skill
「です・ます調で書く」はどの作業でも効いてほしいので CLAUDE.md になる。「月末資料の手順」は月末以外では不要なので Skill になる。
もう1つの目安として、手順が3ステップ以上あるなら Skill を検討するとよい。CLAUDE.mdに手順を書き始めたら、それはSkillに移す合図になる。
4. 置き場所
フォルダを1つとファイルを1つ作るだけで済む。
フォルダ名がコマンド名になる
~/.claude/skills/月末まとめ/SKILL.md
↑ ↑
フォルダ名が この名前で固定
コマンド名になる
月末まとめ というフォルダを作れば、/月末まとめ で呼べるようになる。 ファイル名のほうは SKILL.md で固定になる。
2つの置き場所
「.claude フォルダー — Claude Codeの持ち物が集まる場所」で扱った、2つの置き場所の使い分けと同じ考え方になる。
| 置き場所 | 使える範囲 |
|---|---|
~/.claude/skills/ | 自分の全作業 |
.claude/skills/ | そのフォルダでの作業 |
- どの作業でも使いたい手順 → ユーザー用(
~/.claude/skills/) - このプロジェクト専用の手順 → プロジェクト用(
.claude/skills/)
迷ったらユーザー用でよい。後から移したくなったら、フォルダごと移動すれば済む。
5. Skillの記載内容
SKILL.md に次のように書く。
---
name: 月末まとめ
description: 月末の資料をまとめる。今月分の資料を集約したいときに使う。
---
## 手順
1. 今月の日付が入ったファイルを集める
2. 日付順に並べる
3. 各ファイルの要点を1行で抜き出す
4. 「日付・ファイル名・要点」の3列の表にまとめる
5. まとめ.md として保存する
## 注意
- 元のファイルは変更しない
- 日付が読み取れないファイルは、末尾に「日付不明」として並べる
上の --- で囲まれた部分が設定、その下が手順の本文になる。
設定部分の2項目
| 項目 | 何を書くか | 省略 |
|---|---|---|
name | 呼び出すときの名前 | できる(省略するとフォルダ名が使われる) |
description | 何をするか+どんなときに使うか | できる(ただし書いたほうがよい) |
name は省略してよい。 書かなければ、4章「置き場所」で見た通りフォルダ名がそのまま使われる。書く場合は、フォルダ名と同じにしておくと迷わない(違う名前にすると、どちらで呼ぶのか分からなくなる)。
description が重要になる。 2章「Skillを使うメリット」のメリット3で触れた「AIが自動で使う」判断は、ここを読んで行われる。
書き方のコツは、何をするか+どんなときに使うかの2つを入れることである。
| 書き方 | 自動で呼ばれるか |
|---|---|
description: まとめる | 呼ばれにくい(何のことか分からない) |
description: 月末の資料をまとめる。今月分を集約したいときに使う。 | 呼ばれやすい |
本文は普通の文章でよい
--- から下は、手順を普通に書けばよい。特別な書式は要らない。
「結果を安定させるコツ — 指示・頼む量・つまずいたときの判断」の「指示の書き方5つのコツ」で扱った内容が、そのまま使える。具体的に書く、終了条件を書く、やってほしくないことを添える。Skillは「毎回書いていた指示」を保存したものなので、書き方も指示と同じでよい。
本文を書くときのコツ
そのうえで、Skillならではの書き方が3つある。
| コツ | 何をするか |
|---|---|
| 全体の流れを先に書く | 何をする作業かを示してから、各ステップの詳細へ入る |
| ルールファイルを明示する | 守ってほしい決まりがあるなら、その場所を書く |
| 出力先を指定する | 保存する場所とファイル名を決めておく |
以降で1つずつ扱う。
コツ1:全体の流れを書いてから、各ステップの詳細を書く
最初に全ステップを並べ、そのあとで1つずつ詳しく書く。 2段構えにする。
## 全体の流れ
1. 今月分のファイルを集める
2. 日付順に並べる
3. 各ファイルの要点を1行で抜き出す
4. 3列の表にまとめる
5. まとめ.md として保存する
## 各ステップの詳細
### 1. 今月分のファイルを集める
ファイル名の先頭が `YYYY-MM` のものが対象になる。
### 2. 日付順に並べる
(以下、ステップごとに続く)
理由:全ステップが先に並んでいると、いま何番目をやっていて、あと何が残っているかが分かる。詳細だけを順に書くと、3番目を実行している最中に全体像が見えなくなる。
ステップが2つか3つなら、この形にしなくてよい。 全体の流れを書くほどの長さにならない。
コツ2:どのルールファイルを読み込むかを書く
守ってほしい決まりが別のファイルにあるなら、Skillの本文でその場所を指定する。
## 手順
1. 表を作る前に `rule/表記ルール.md` を読む
2. そのルールに沿って表を作る
「CLAUDE.md — 会話をまたいで前提を引き継がせる」の「書き方のコツ」で、CLAUDE.mdから別ファイルへ送る書き方を扱った。同じ書き方を、Skillの本文でも使える。 違うのは書く場所で、CLAUDE.mdに書けば常に効き、Skillに書けばその作業のときだけ効く。
コツ3:出力するなら、場所とファイル名を指定する
どこに何という名前で保存するかを、曖昧にしない。
| 書き方 | |
|---|---|
| ✕ | まとめて保存する |
| ○ | まとめ/ フォルダーに YYYY-MM_まとめ.md という名前で保存する |
指定が無いと、毎回違う場所・違う名前で作られる。後から探せなくなり、結局その都度指示することになる。
上書きしてよいかも書いておくとよい(同じ名前のファイルがあれば上書きする / 末尾に連番を付ける)。
6. Skillを使用する方法
自分で名前を呼ぶ
/ を打つと一覧に出てくる(「基本的なコマンド — 会話の整理と状態確認をスラッシュコマンドで行う」の「スラッシュコマンドとは」と同じ)。そこから選ぶか、名前を打つ。
/月末まとめ
補足を添えることもできる。
/月末まとめ 今回は9月分だけで
AIが自動で使う
名前を呼ばなくても、関連する依頼をすればAIが判断して使う。
「今月分の資料をまとめて」
↓
description を見て「月末まとめが使えそうだ」と判断
↓
Skillの手順に沿って動く
7. Skillにするかの判断基準
向いているもの・要らないもの
| 向いている | 要らない |
|---|---|
| 手順が3つ以上ある作業 | 一言で頼める作業 |
| 定期的に繰り返す作業 | 一度きりの作業 |
| 手順を間違えると困る作業 | どう進めても結果が同じ作業 |
| 説明が長くなる作業 | 短く頼める作業 |
作る判断は「3回目」
「CLAUDE.md — 会話をまたいで前提を引き継がせる」の「何を書くか」では「同じ説明を2回したら CLAUDE.md に書く」と書いた。Skillはもう少し閾値を上げる。
同じ手順を3回説明したら Skill にする。
理由は、作る手間が CLAUDE.md への1行追記より大きいからである。2回では、それが本当に繰り返す作業なのかまだ分からない。3回目なら、以降も繰り返す可能性が高い。
迷ったら作ってしまってもよい。 使わなければフォルダごと消せば済む。
8. 注意点
思った通りに呼ばれないとき
作った後で、呼び出しがうまくいかないことがある。症状ごとに見るところが決まっている。
| 症状 | 対処 |
|---|---|
| 自動で呼ばれない | description に「どんなときに使うか」を書き足す |
| 意図せず呼ばれる | description を狭める(対象を限定する) |
/ の一覧に出てこない | フォルダ名とファイル名を確認する(4章「置き場所」) |
多くの場合、原因は description にある。 呼ばれ方がおかしいと感じたら、まずここを見直す。
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Skillで、決まった作業手順を登録し、名前で呼び出せるようになった。
一方で、特定の場面になったら自動で実行してほしいこともある。ファイルを保存したら毎回点検させる、といった使い方である。
次の「Hooks — 決まった場面で確実に自動実行する」では、決まった場面で自動的に処理を走らせる仕組みを扱う。呼び出さなくても、その場面になれば実行される。