Claude Codeには、AIへの指示とは別に、ツール自体を操作するための命令がある。/ で始まるスラッシュコマンドである。この章を読むと、会話の整理・モデルの切り替え・状態の確認といった場面で、どのコマンドを使えばよいかが分かるようになる。
目次
| 章 | タイトル |
|---|---|
| 1 | スラッシュコマンドとは |
| 2 | よく使う9つのコマンド |
| 3 | 会話を整理する(/clear・/compact) |
| 4 | 元に戻す(/rewind) |
| 5 | 設定を変える(/model・/config) |
| 6 | 状態を確認する(/status・/usage) |
| 7 | コマンドを探す(/help) |
| 8 | 暗記しなくてよい理由 |
1. スラッシュコマンドとは
Claude Codeには、ツール自体を操作するための命令が用意されている。これがスラッシュコマンドである。
/ を打つと一覧が出る
入力欄に / を1文字打つと、使えるコマンドの一覧が表示される。
画像は準備中入力欄にスラッシュを打った直後に表示される、コマンドの候補一覧の画面
そこから選ぶだけでよい。名前を正確に覚えている必要はない。
「指示」と「コマンド」の違い
「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「ステップ2:AIへ指示を出す」で扱った指示と、この章のコマンドは、話しかける相手が違う。
| 相手 | 例 | |
|---|---|---|
| 指示 | AI | 「この資料を整理して」 |
| コマンド | Claude Codeというツール | /clear(会話をリセットする) |
指示は「何をしてほしいか」をAIに伝えるものになる。コマンドは「ツールの状態を変える」操作であり、AIへのお願いではない。
そのため、コマンドの内容をAIに日本語で頼んでも実行されない。「会話をリセットして」と打っても、AIは会話をリセットできない。/clear と打つ必要がある。
2. よく使う9つのコマンド
よく使うものは次の通りである。この章ではこれらを場面別に見ていく。
| コマンド | 何をするか | 使う場面 |
|---|---|---|
/clear | 会話をリセットする | 別の作業に移るとき |
/compact | 会話を要約して続ける | 話が長くなってきたとき |
/context | 使用量を図で見る | 動きが重いと感じたとき |
/rewind | 変更を巻き戻す | 承認した後で戻したいとき |
/model | AIモデルを切り替える | 速度と精度を調整したいとき |
/config | 設定画面を開く | 動作を変えたいとき |
/status | 今の状態を見る | 状況を確かめたいとき |
/usage | 使用量と料金を見る | どれだけ使ったか知りたいとき |
/help | コマンド一覧を出す | 何があるか忘れたとき |
3. 会話を整理する(/clear・/compact)
最初に覚えるべきはこの3つになる。使用頻度が最も高い。
なぜ整理が必要か
AIが一度に覚えていられる量には上限がある。会話を続けると、その上限に近づいていく。
上限が近づくと、次のことが起きる。
- 会話の序盤で伝えた内容を忘れる
- 応答が遅くなる
- 指示と関係ない話を持ち出す
別の作業を始めるときに前の話が残っているのも問題になる。「企画書を直して」と頼んだ後、そのまま「名簿を整理して」と続けると、AIは企画書の話を引きずったまま名簿を扱う。
この2つを防ぐのが、以下のコマンドになる。
/clear — 会話をリセットする
それまでの会話をすべて忘れさせて、まっさらな状態から始める。
/clear
別の作業に移るときに使う。 作業が変わったら打つ、と決めておくとよい。
注意点として、リセットされるのは会話だけである。ファイルへの変更は消えない。すでに書き換えたファイルは、そのまま残る。
/compact — 要約して続ける
会話の内容を要約して圧縮する。話の流れは引き継いだまま、容量だけを空ける。
/compact
同じ作業を続けたいが、会話が長くなってきたときに使う。/clear と違い、それまでの経緯は残る。
何を残したいかを添えることもできる。
/compact 決めた構成の話だけ残して
/context — 今どれだけ使っているか見る
現在の使用量を図で表示する。
/context
動きが重い、応答がおかしいと感じたときに確認する。余裕が無ければ /compact か /clear を打つ、という判断ができる。
/clear と /compact の使い分け
迷ったときは、次で判断する。
| 状況 | 使うもの |
|---|---|
| 別の作業に移る | /clear |
| 同じ作業を続けるが、会話が長い | /compact |
前の話が残っていて困るなら /clear、残したいなら /compact と考えればよい。
4. 元に戻す(/rewind)
「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」の「ステップ5:承認する・却下する」では「迷ったら却下してよい」と書いた。しかし、承認した後で間違いに気づくこともある。そのときに使う。
/rewind — 変更を巻き戻す
セッション中の変更を、以前の時点まで戻す。
/rewind
打つと、これまで出した指示の一覧が表示される。戻したい時点を選ぶと、次の選択肢が出る。
| 選択肢 | どうなるか |
|---|---|
| コードと会話を戻す | ファイルも会話も、その時点に戻る |
| 会話だけ戻す | ファイルはそのまま、会話だけ戻る |
| コードだけ戻す | 会話はそのまま、ファイルだけ戻る |
通常は1つ目を選べばよい。
入力欄が空の状態で Esc を2回押しても同じ画面が出る。
万能ではない
/rewind が戻せるのは、AIがファイル編集機能で行った変更だけになる。次のものは戻せない。
| 戻せないもの | 補足 |
|---|---|
| コマンド実行による変更 | ファイルの削除・移動などをコマンドで行った場合 |
| 自分で手作業で編集した内容 | Claude Codeの外で行った変更 |
| 別の会話で行われた変更 | 「Sub Agents — 別のAIに調べ物を任せ、会話を汚さない」で扱う |
| 30日以上前の変更 | 記録は30日で消える |
大事なファイルを扱うときは、これに頼らない。 事前に複製を取っておくか、Gitのようなバージョン管理を使うのが本筋になる。
/rewind は「作業中のちょっとした巻き戻し」のためのものと考えるとよい。
5. 設定を変える(/model・/config)
/model — AIモデルを切り替える
使用するAIモデルを変更する。
/model
モデルには、速いものと賢いものがある。簡単な作業は速いモデル、複雑な判断が要る作業は賢いモデル、という使い分けができる。
ただし最初は触らなくてよい。初期状態で適切なモデルが選ばれている。動作が遅いと感じたときや、結果の質に不満があるときに思い出せばよい。
/config — 設定画面を開く
各種設定をまとめて開く。
/config
この中で変えられる項目は多岐にわたる。今の段階では「設定はここから開ける」とだけ知っておけばよい。
6. 状態を確認する(/status・/usage)
/status — 今の状態を見る
現在のセッションの状態を表示する。
/status
ログインしているアカウント、使用中のモデル、作業フォルダなどが分かる。「そもそも今どうなっているのか」を確かめたいときに使う。
/usage — 使用量を見る
どれだけ使ったかを表示する。
/usage
有料プランには使用量の上限があるため、残りを把握したいときに確認する。使いすぎて途中で止まる事態を避けられる。
7. コマンドを探す(/help)
/help — 一覧を出す
使えるコマンドの一覧と、簡単な説明を表示する。
/help
この章で扱っていないコマンドも含めて表示される。何があるか忘れたときは、これを打てばよい。
8. 暗記しなくてよい理由
ここまで9個のコマンドを見てきたが、暗記する必要はない。理由は2つある。
1つ目は、1章「スラッシュコマンドとは」で見た通り / を打てば一覧が出ることである。名前をうろ覚えでも、そこから選べる。
2つ目は、日常的に使うのは数個だけだからである。残りは必要になったときに /help で探せばよい。
まず次の3つだけ頭に入れておけば十分である。
| コマンド | 覚え方 |
|---|---|
/clear | 作業が変わったら打つ |
/compact | 会話が長くなったら打つ |
/rewind | 承認を間違えたら打つ |
残りは、使う場面が来たときにこの記事へ戻ってくればよい。
次のページ
コマンドで会話を整理できるようになったが、/clear を打つとAIは前の話を忘れる。すると次の会話で、同じ説明をもう一度することになる。
ここまでで、Claude Codeを動かすための操作はひと通り揃った。次の「結果を安定させるコツ — 指示・頼む量・つまずいたときの判断」では、ここまでに出てきた個々の話を、実践的な勘所としてまとめ直す。指示をどう書けば意図通りに動くのか、一度にどれだけ頼めばよいのか、うまくいかないときにどこから疑うのか。基本操作編の締めくくりになる。