Claude Codeは「コードを書くAI」と説明されることが多い。しかし、それだけではClaude Codeの実力を十分に捉えられない。Claude Codeは、指示に応じてコードを生成するだけでなく、既存のファイルを読み取り、必要な箇所を修正し、コマンドを実行しながら、一連の作業を進めることができる。つまり、単なる文章生成ツールではなく、実際の作業環境の中で手を動かすAIエージェントとしての性質を持っている。

一方で、どのような作業でも安心して任せられるわけではない。得意な作業がある一方で、人による確認や判断が欠かせない場面もある。本章では、Claude Codeに何を任せられ、何を苦手としているのかを具体的に整理する。その特徴と限界を理解し、Claude Codeを「コードを書くAI」ではなく、「作業そのものを代行するAIエージェント」として捉えられるようになることを目指す。

目次

章タイトル
1Claude Codeとは何か
2Claude Codeができること
3Claude Codeが苦手なこと
4ChatGPTとの比較

1. Claude Codeとは何か

一言でいうと

Claude Codeは、頼んだ作業を、自分で手順を考えて最後まで進めてくれるツールである。

Anthropic社が提供していて、同社のAIモデル「Claude」が動いている。開発元はプログラマー向けのツールとして出しているが、実際にはファイルを扱う作業全般に使える。

普段使っているAIとの違いは、動き方に出る。

動き方
チャットAI1回聞かれたら、1回答える
Claude Code1回指示されたら、終わるまで何回でも動く

チャットAIは、聞いたことに答えて終わる。その答えを使って実際に手を動かすのは自分になる。Claude Codeは、その手を動かすところまで引き受ける。

自分で動くとはどういうことか

たとえば「設定ファイルの書き方が間違っていないか調べて、直して」と頼んだとする。Claude Codeは次のように動く。

1. 設定ファイルを探す        ← 自分で探しに行く
2. 中身を読む                ← 自分で開く
3. 間違いを見つける
4. 直した内容を作る
5. ファイルに書き込む        ← 自分で書き換える

この1〜5を、こちらが1回指示しただけで続けて実行する。途中で「次はどうしますか」と聞いてこない。

同じことをチャットAIに頼むと、こうなる。

【チャットAIの場合】
自分:ファイルを探して、開いて、中身をコピーして貼り付ける
 ↓
AI:直した内容を返す
 ↓
自分:それをコピーして、ファイルに貼り戻す

【Claude Codeの場合】
自分:「このファイルを直して」と指示する
 ↓
AI:自分でファイルを開いて、読んで、書き換える
 ↓
自分:変更内容を確認して、OKを出す

探す・開く・貼り戻すが、こちらの手から消える。 自分に残るのは、指示を出すことと、出てきた結果を確認することになる。

指示は日本語で出す。 名前に「Code」と入っているが、扱うのはパソコンの中のファイルであって、それが文章か表かコードかは問われない。プログラミングの知識は要らない。


2. Claude Codeができること

任せられる作業は、大きく3種類に分かれる。

できることどんな作業か
ファイルを読んで調べる書き換えずに、複数のファイルをまたいで調べる
ファイルを作る・直す実際に書き換える。中心的な使い方になる
調べ物をして反映する外部で調べた結果を、そのままファイルへ反映する

以降で1つずつ扱う。

ファイルを読んで調べる

書き換えを伴わない、調べ物の作業になる。

複数のファイルにまたがった調査が得意である。人間が1つずつ開いて確認する作業を、まとめて処理してくれる。

具体例

指示:「このフォルダの中で、古い電話番号が書いてあるファイルを全部教えて」

Claude Codeの動き:
  フォルダ内のファイルを順番に開く
   ↓
  古い電話番号を探す
   ↓
  見つかったファイル名と、その行を一覧で返す

ファイルが100個あっても、こちらの手間は指示1回で変わらない。

ファイルを作る・直す

実際に書き換えを行う作業になる。Claude Codeの中心的な使い方である。

具体例

指示:「会議の議事録を、日付ごとにフォルダ分けして整理して」

Claude Codeの動き:
  議事録ファイルを全部読む
   ↓
  それぞれの日付を確認する
   ↓
  日付ごとのフォルダを作る
   ↓
  ファイルを振り分けて移動する

ここで大事なのは、書き換える前に確認を入れられるという点になる。設定しておけば「この内容で書き換えますが、よいですか」と聞かれ、こちらがOKを出して初めて反映される。

なお、確認をどこまで求めるかは設定で変えられる。初期状態では一部が自動で進むため、最初は確認が入る設定にしておくとよい。この設定と確認の流れは「基本操作 — 指示を出し、変更を確認して承認する」で扱う。

調べ物をして反映する

外部の情報を調べ、その結果をファイルに反映するところまでを続けて行う作業になる。

前の2つを組み合わせた形で、エージェントらしさが最も出る使い方である。

具体例

指示:「この資料に出てくるサービスの料金が今いくらか調べて、古かったら直して」

Claude Codeの動き:
  資料を読んで、サービス名を拾う
   ↓
  各サービスの公式サイトを見に行く
   ↓
  今の料金を確認する
   ↓
  資料の記載と照らし合わせる
   ↓
  古い箇所を書き換える

「調べる」と「直す」を別々に頼む必要がない。1回の指示で通しで動く。


3. Claude Codeが苦手なこと

万能ではない。任せない方がよい作業もはっきりしている。

苦手なこと理由
正解が決まっていない判断「どちらのデザインが好きか」のような好みの問題は決められない。判断材料は出せるが、決めるのは人間になる
前提を共有していない作業社内の暗黙のルールや、口頭でしか伝わっていない事情は知らない。伝えていないことは考慮されない
取り返しのつかない操作ファイルの完全削除や、外部への送信など。実行できてしまうからこそ、任せる範囲を自分で決める必要がある
大量の情報を一度に扱うこと一度に読める量には上限がある。何十ファイルもまとめて渡すと、途中の内容を取りこぼす

このうち3つ目の「取り返しのつかない操作」は、設定で制御できる。どの操作を自動で許可し、どの操作は毎回確認させるかを決める仕組みが用意されている。これは「Permissions — 確認を減らしつつ、危険な操作だけ止める」で扱う。

2つ目の「前提を共有していない作業」も、対策がある。プロジェクトのルールをファイルに書いておき、毎回自動で読ませる仕組みがある。これは「CLAUDE.md — 会話をまたいで前提を引き継がせる」で扱う。

つまり、苦手なことのうち半分は設定で埋められる。残りの「正解のない判断」だけが、最後まで人間の担当として残る。


4. ChatGPTとの比較

得意なことが違う

OpenAIにも、同じようにファイルを直接扱えるツールがある(Codex)。「パソコンの中のファイルを任せられるのはClaude Codeだけ」ではない。 本シリーズではClaude Codeを扱うが、選べる道具は他にもあると知っておけばよい。

同じことができる部分があるからこそ、どちらが向いているかで選ぶことになる。

向いていること
ChatGPT画像を作る。アイデアを出す。相談しながら考えを整理する
Claude Code長い資料をいくつも参照しながら、ファイルを書き換える作業を続ける

画像生成は、はっきりした差になる。 Claudeには画像を作る機能が無く、イラストや写真が要るならChatGPTを使うことになる。

長い資料を抱えたままの作業は、Claude Codeが向く。 資料を何本も開いたまま、内容を突き合わせて書き換える、といった使い方で差が出る。

片方に寄せる必要はない。 考えを整理したい場面ではChatGPTに相談し、決まった内容をファイルへ反映する段階でClaude Codeに任せる、という使い方でよい。

なお、どちらが優れているかは時期によって変わる。 AIは更新が速く、ここに書いた差も先々は動きうる。今の自分の用途で選べば足りる。


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ここまでで「Claude Codeが何をするツールか」は掴めたと思う。次に決めるのは、どうやって使うかである。

Claude Codeには2つの使い方がある。ターミナル(黒い画面に文字で指示する方法)と、VSCode拡張機能(画面上で操作する方法)である。次の「開発環境 — ターミナルとVSCode拡張機能、どちらで進めるか」では、この2つの見た目と操作感がどう違うのかを比べ、本シリーズがどちらを使うのかを決める。


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